那覇のジャズスポットめぐり③ 〜ライブミュージックバー サウンドエムズ〜

  1. 那覇のジャズスポットめぐり③ 〜ライブミュージックバー サウンドエムズ〜

Columnコラム


「はじめてのジャズスポットめぐり」と銘打って、那覇市内計6ヶ所のジャズバーをハシゴする「那覇ジャズまーい」。
大きなホールや中規模なライブハウスとは違った近距離で、楽器の音を振動として感じられるジャズバーで“那覇のジャズ”を体感するためのこのワークショップは、那覇文化芸術劇場なはーとと、ドラマーで作曲家の中村亮さんが企画している。
 
前回(11月5日)から1週間の時間を置いて、ガイドを務める中村さんが3件目に案内したのは久茂地にある「ライヴミュージックバー サウンドエムズ」。
国際通り沿いにある建物の階段を上がり入り口のドアを開けると、外の喧騒から遮断されるように落ち着いた空間に身体が入り込んでいくのが分かる。
 

徐々に参加者が集まり出して、それぞれにドリンクをオーダーして席につく。
この日は40人近い人たちが参加して、席を埋めた。
 
開始時間になると、ブラシを使ったドラムの穏やかな打音を皮切りに、スローな空気感の1曲目が始まった。
会場はにわかにゆったりとしたムードになり、時間の流れまでも遅くなったような感覚に包まれる。
その中で酒のグラスを傾ける人たちが感じているであろう心地良さが、見てるだけでも伝わってきた。
 

演奏するのは知念嘉哉(ギター)、ジェフ蔵方(ベース)、田場龍之介(ドラム)の3人で、「T-RYM」というトリオのメンバー。
時折互いに視線を交わしながら、クールかつストイックに音を交わらせる。
 
続く2曲目は少しテンポを上げて、空間を駆け回るような陽気で軽快なリズムが繰り出された。
小気味良いレガート(ドラムの刻み)に乗っかって、ギターとベースも存分に躍動して、演奏全体が熱を帯び音量も上がってきた。
中盤ではそれぞれのソロを回す「バース」もあり、観客も身体を揺らしたり、手で膝を軽く打ちながらビートに身を任せている。
 

ここまではギターの知念さんが書いたオリジナル曲で、最近リリースしたT-RYMのCDにも収録しているとドラムの田場さんが説明した。
その後、3曲目は田場さんが指を鳴らしてカウントをとり、セロニアス・モンクのスタンダード・ナンバーに突入。
テクニカルなフレーズの応酬が会場の空気を震わせ、拍手とともに前半の演奏を終えた。
 

ここで、ガイドの中村さんがマイクを握った。
 
「ジャズの楽しさは、リズムや少人数でも演奏出来ることなどたくさんありますが、今日みたいにバーで凄く近い距離で聞けるのもとても良いところだと思います。エムズはプレイするミュージシャンとお客さんとの距離感がとても好きなお店なんですよ」
 
ジャズの楽しみについてそう話すと、オーナーの柴田学さんをステージに呼び込んだ。
 

創業12年目になるエムズでは、演奏される音楽はジャズがメインのほか、ブルースも聞くことが出来ると説明。
料金について「いくら持ってれば見れるんですか?」と中村さんに問われた柴田さんは「ライブにもよりますが、基本的にドリンク込みで1,500円。うちは安いです!」と言い放って会場の笑いを誘っていた。
 
客席からの「店内に飾られた絵は誰が描いてるんですか?」という質問に、「私が描いてます」と柴田さんが応じて驚きの歓声が起こる場面もあった。
独特な世界観を持つ柴田さんの絵が醸し出す雰囲気も、エムズの空間を特異なものにしている要素の1つだ。
店に足を運んだら、音楽とともに視覚でも楽しんでほしい。
 

後半は知念さんがジャズ・アレンジした沖縄の童謡「赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)」の演奏も。
優しいギターの音色で奏でられる沖縄の旋律をベースが支え、ドラムがアグレッシブにアプローチしていく。
メンバー同士が目線で合図して身体を軽く動かしながら最後のキメの音を出し終えると、会場が大きな拍手に満たされてこの日1件目の「ジャズまーい」が幕を閉じた。
 
執筆・撮影:真栄城潤一
 
■店舗情報
Live Music Bar SOUND M’S
住所:那覇市久茂地3-29-68 久茂地産業ビル3階 
営業時間:20:00~(ライブにより変動)
定休日:不定期(ジャズのセッションは火・木曜)
チャージ:1,000円〜
公式サイト:https://soundms.okinawa.jp/
 

最終更新日:2023.11.21

那覇ジャズまーい 音楽