なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート 「みんなのかたち モーイモーイあしびー」 ①

  1. なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート 「みんなのかたち モーイモーイあしびー」 ①

Columnコラム

なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート
2025年度「みんなのかたち モーイモーイあしびー」  1回目

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実施日:2025年10月25日(土)
時間:9:40~11:40 ワークショップ
11:40~13:00 ごろ ゆんたくじかん
会場:那覇文化芸術劇場なはーと 1 階小スタジオ
アーティスト:平良亜弥、津波博美
造形:山内 盛彰
音楽:古謝 麻耶子
身体表現:岩木桃子
ワークショップ概要 
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なはーとでは、アートを通してあかちゃんとおとなの新しい関わり方を発見する「ベイビーシアター・コミュニティプロジェクト」を昨年から継続して開催しています。
0歳~2歳のあかちゃんと、あかちゃんに関わるすべての大人たちが、お互いに心地よく影響し合える空間を、時間をかけてつくっていきます。

「みんなのかたち モーイモーイあしびー」

全4回のワークショップを通して、みんなで素材や音、動き、 つながりを育みながら「ベイビーシアター※」をつくります。 あかちゃんと過ごす日々の風景が、アーティストの遊び心で新しい世界へと変身!
※ベイビーシアターとは、あかちゃんとおとながともに参加し体験する、新しい舞台芸術です。

はじめましてのごあいさつ


ワークショップ初日。ベイビーシアターの会場に入ると、柔らかい光に包まれた空間に色とりどりの紐や布が目に飛び込んできます。
初めての場所、初めて会う人たち、初めて目にするもの、ふれるもの…わくわくしながらも、あかちゃんも保護者のみなさんもすこし緊張した面持ちです。
まずは参加者、アーティスト、スタッフ、みんなで輪になって床に座り、自己紹介をしました。

まねっこの動きをしてみよう

さぁ、身体を動かしてみましょう。ねんねやはいはいの子たちは、抱っこで一緒に動きます。紐の輪っかの上を歩いてみたり、みんなで四股を踏んでみたりしながら、身体をほぐしていきます。

「次は、だれかの動きをまねてみましょう」という声かけに、戸惑いを見せるこどもたち。恥ずかしがって保護者の後ろに隠れようとすると、アーティストの山内盛彰(もーりー)さんは「隠れる」のまねっこを始めました。みんなで「隠れる」をやっているうちに、動くことに対してネガティブな意味を持っていたはずの「隠れる」という動作が新しい「動き」に変わっていきました。アートの視点でみると、あかちゃんのどんな反応もポジティブな動きに変わっていくことを感じた瞬間でした。

あかちゃんの動きをまねしてみよう

はいはいをするあかちゃんになったつもりで、みんなでまねをしてみます。
あかちゃんの目線から見たら世界はどうなっているのだろう?
そんなことを思いながら、おとなもこどももみんなではいはい。あかちゃんたちはその様子をどんな風に感じていたでしょう。

さて、こんどはカラフルなユニコーンに変身です。ひとりひとり好きな色の紐や布を身体にかざり、思い思いのユニコーンが誕生しました。生まれたての色鮮やかなユニコーンたちは古謝 麻耶子さんが奏でる音楽にあわせて踊ります。

麻耶子さんはみんなの動きにあわせて音を奏で、そのメロディにみんなの心と身体が踊り出し、互いに反応しあいながら生まれてくるリズムに空間が包まれます。

ブルーシートの海が出現

ここでいったん休憩を挟んで場面転換です。スタッフが大きなブルーシートを運んできました。ブルーシートを広げると、風をはらんでさわさわと音をたてながらさざ波のようにはためきました。それを見たひとりの子が、ブルーシートの上を走って飛び込んできました。まるで海の波の中を走っているようです。さわさわ、さわさわ・・・。目をきらきらさせて、ブルーシートの海を何度も走り抜けます。

それを見ていた他のこどもたちもブルーシートの海に飛び込んできました!

このあそびは当初のプログラムには無く、参加者のこどもたち自身が発見して始まったあそびでした。おとなたちは息を呑んでこの成り行きを察知すると、海の演出をお手伝いしました。この時のこどもたちの生き生きした表情といったら、もう最高でした。休憩時間が思いがけないあそびの時間となりました。
 

ひみつのじゅもん「まるまるぼーん」

さぁ、今度こそブルーシートを敷いて「まるまるぼーん」です。目に見えないボールを持って「まるまるぼーん」と言いながら相手をめがけて投げます。投げられたらキャッチして次の人に…。そうしてキャッチボールをしていると、大きな透明のビーチボールが現れました。

おおきなボールにみんなのかたち

「こんなに大きなボール見たことない」「向こう側が見える、ふしぎだなぁ」言葉にはしないけれど、透明のボールを見上げたりのぞきこんだりする様子からそんなせりふが聞こえてきそうです。

そのボールに、さまざまなかたちのシールを貼ったりお絵描きをして飾り付けていきます。あかちゃんも保護者と一緒に取り組みます。

ねんねの子たちは、プログラム中眠っていることも多いです。そんな時にはファミリーサポートのスタッフが抱っこしていてくれます。眠ったり起きたりしながらあかちゃんたちのペースでゆったりとプログラムに参加してくれていました。

みんなでねんねしてクールダウン

お部屋がだんだん暗くなってきました。みんなのかたちで彩られたおおきなボールがころころと転がって、参加者たちは次々と横になります。

カラフルな布をつないだ1枚の大きな布が、横になったみんなの上をふわりと舞うように通り抜けていきます。心地いい、しずかな時間がやってきました。

てくてくの子は起き上がって布が気になる様子。
そこへまたブルーシートの時のように、布の上に飛び込んでくる子がいました。そしてその子をアーティストの亜弥さんが布で包み込むようにハグ。

それがワークショップのフィナーレとなりました。

今回は、こどもたちの方から湧き出てきた発想や麻耶子さんの即興演奏によって、いまこの瞬間だけのかけがえのない時間が生まれました。

ワークショップの後は、ふたたび輪になって感想をシェアしました。
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「家だとこどもがおもちゃで遊んでいるのを見ている、という時間が多いけれど、今日は同じことをして一緒に遊ぶことができて、貴重な時間でした」
「普段の子育てのなかで、あかちゃんの動きにじっくり注目する時間はあまりないので、新鮮でした」 
「ふだんは人見知りのわが子ですが、ここでは無意識に楽しんでいるように見えました」
「演出に静と動があり、ワークショップ全体が1日の流れのように感じられました」
「空間を使って大きく動くあそび方はなかなかできないので、良い刺激になりました」
「布や紐といった素材の工夫が参考になりました。おうちでもやってみたいです」
「こどもが前回(昨年)は天真爛漫に動いていたのに、今回は恥ずかしいという気持ちが出てきていて成長を感じました」
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ベイビーシアターを通じておとなもこどもも変化を感じてもらうことができたようです。また回を重ねていくことでの変化も楽しみですね。

「みんなのかたち モーイモーイあしびー」第2回目のレポートも、どうぞお楽しみに!

(写真・執筆:由利玲子)
 

最終更新日:2025.11.11

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