Columnコラム

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実施日:2025年11月16日(日)
時間:10:10~11:10 おひろめ会
11:10~12:10 ごろ ゆんたくじかん
会場:那覇文化芸術劇場なはーと 1 階小スタジオ
アーティスト:平良亜弥、津波博美
造形:山内 盛彰 音楽:古謝 麻耶子 身体表現:岩木 桃子
ワークショップ概要
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なはーとでは、アートを通してあかちゃんとおとなの新しい関わり方を発見する「ベイビーシアター・コミュニティプロジェクト」を昨年から継続して開催しています。
0歳~2歳のあかちゃんと、あかちゃんに関わるすべてのおとなたちが、お互いに心地よく影響し合える空間を、時間をかけてつくっていきます。
全4回のワークショップを通して、みんなで素材や音、動き、 つながりを育みながら「ベイビーシアター※」をつくります。あかちゃんと過ごす日々の風景が、アーティストの遊び心で新しい世界へと変身!
※ベイビーシアターとは、あかちゃんとおとながともに参加し体験する、新しい舞台芸術です。
全4回の連続ワークショップ、いよいよ「おひろめ会」の日がやってきました。
これまでに取り組んできた「かたち・いろ・うごき・おと」を表現し、ひとつの空間としてみんなでつくりあげていきます。
今回は観客として新たに5組の親子が一緒に参加します。

まずはカラフルな布やひもを使って、みんなで舞台衣装に変身!
布をマントのように羽織ったり、ひもを頭や腰に巻きつけたりと、これまでワークショップに参加してきた保護者たちはもう手慣れたもの。観客としてはじめて参加する親子も、まわりの様子を見ながら素材を身にまとい、少しずつ非日常へと気持ちを高めていきます。
「まーるまーる、ぼーん」
亜弥さんが布ひもを丸めて小さなボールを作り、博美さんにむかって転がします。
そのボールに博美さんが布ひもをさらに1本巻き付けて、また「まーるまーる、ぼーん」。

音楽隊が奏でる軽やかな音とともに、参加者たちのあいだをボールが行き交います。いつ自分のところに転がってくるかと、目をきらきらさせながらボールを目で追うあかちゃんたち。
すっかり大きくなったボールが亜弥さんのところに戻ったら、「せーの」の合図とともにみんなで魔法のことばを唱えます。
「まーるまーるぼーん!」
スクリーンの後ろから大きな透明ボールが登場し、ワッと歓声があがりました。
にぎやかな音楽にあわせ、2つの透明ボールがぐるぐるとみんなの間を行き交います。

「わっしょい!わっしょい!」
3つ目のボールが登場する頃には、盛り上がりは最高潮に。
ちょっぴり恥ずかしい気持ちは、もうみんな上手に手放すことができます。あかちゃんもおとなもリズムに合わせて自由にからだを動かし、この瞬間を分かち合いました。
次に訪れたのは、しずかな時間。
少しずつ照明が落とされ、あくびの声とゆったりとした音がみんなを眠りへとさそいます。
ひんやりとした床の感触で少しずつ体温が下がってくるのを感じながら、ごろん、ごろん。その上を透明ボールがゆったりと浮遊します。

リンリン、シャカシャカ。
ボールが近づいてきたら、それぞれが手にもったハンドベルやマラカスを鳴らします。これも、もうみんなお手の物。前回は暗闇をこわがっていたあかちゃんも、今回は保護者に抱っこされながらしっかり楽器を鳴らしていました。
ゆっくりとからだを起こしたら、次はあかちゃんたちが大好きな影あそびです。


懐中電灯のホタルや、ザルが映し出すふしぎなもよう。あかちゃんと保護者の楽しげな笑い声が響きます。
おひろめ会は、いよいよクライマックスへ。
どこからともなくカラフルな「布クラゲ」が登場し、ふわふわ、ヒラヒラと踊りはじめました。あかちゃんたちは目をまんまるにして、その動きを追いかけます。

「さあ、みんなもいっしょに!」
音楽隊が奏でるにぎやかなリズムにあわせ、おとなもこどもも自由にからだを動かします。
布クラゲを追いかける子、音楽隊の楽器を一緒になって演奏する子、抱っこのまま保護者と一緒にクルクル回る子。少し離れたところから見ると、まるで深海でカラフルないきものたちがうごめいているかのようです。

ぽわん、ぽわん。小さな気泡がはじけるような下敷きの音が響き、おひろめ会はフィナーレをむかえました。白昼夢を見ていたかのような、あっという間の1時間。心地よい疲労感と笑顔が空間を満たしていきました。
さいごに、おひろめ会の感想をみんなでシェアします。
「いつもは途中で寝てしまうんですが、今回は最後まで起きて楽しむことができました」
「もう4回目なのですっかり場馴れして、自分からひもを触りに行ったり、他の子のところにあそびに行ったりして成長を感じました」
「今回は音を大きく鳴らしたりジャンプしたり、からだで思いきり表現している感じがしました。すごく楽しんでいたと思います」
ワークショップをとおしてわが子が好きなことや苦手なこと、そしてアーティストや他の参加者との関わりによって、新たな一面を発見できたようです。
また、観客として今回はじめて参加した方も
「透明のボールに大興奮してはしゃいでいたので、今日はよく眠ってくれそうです。いい時間でした」
「子どものための劇は観たことがあったのですが、子ども自身が参加するというのははじめての経験でとても楽しかったです。次は最初から参加してみたいです」
「明るいときと暗いときで、場所の見え方がこんなにも変わるんだと驚きました。ぜひ家でもセロハンを使ったあそびを取り入れてみたいです」
といった感想が聞かれ、あかちゃんとの時間を楽しむ新たなヒントをみつけたようでした。
この日、この場所、この時間をともにした仲間でつくりあげた、唯一無二の「おひろめ会」。小さなまなざしや手ざわりが重なり合い、ベイビーシアターの世界が、より深く、より豊かに広がっていきました。
この体験が、きっとこれからの日々をやさしく照らしてくれる。そんな思いとともに、今年度のベイビーシアタープロジェクトは幕を閉じました。
撮影・執筆:安田 麻衣子
最終更新日:2026.01.07