「土屋主税(つちやちから)」について調べてみた!③下

  1. 「土屋主税(つちやちから)」について調べてみた!③下

Columnコラム

担当者が「土屋主税」について調べてみた!③下



来る9月24日(日)に大劇場で上演される松竹大歌舞伎の演目である「土屋主税」について、
歌舞伎初心者の担当が……行ってきました!第二弾!!

吉良の首を討ち取った赤穂浪士たちは、そのままの足で、浅野の墓がある泉岳寺へ向かいます。
まったく同じ道のりではありませんが、私も泉岳寺まで歩いて向かうことにしました。
当時、彼らは2時間ほどの討ち入りの末、雪が降っている真冬の明け方に歩いたそうです。
想像するだけでも相当しんどかったと思いますが、そこに浅野への忠誠の強さが表れていますね。
 
 
私が辿ったのは、ほぼ直線コースで、およそ9km。
その日の東京の最高気温は34.8℃、履いているのは7cmのヒール。
これくらいの負荷があった方が、彼らと同じ気持ちで歩めるというものです。
そして、私には目的がありました。
赤穂義士記念館と、「泉岳寺」の御朱印がほしい……。
そのためには全力で歩かなければ間に合いません。
13:30頃、吉良邸跡を出発しました。
スタートして少ししたところで、彼らの足跡を見つけました。



道中、このようにたくさんの写真を撮ろうと思っていたのですが、
そんな余裕は一切ありませんでした。
照りつける太陽に奪われる体力と、次第に感覚がおかしくなっていく脚……。
その中での幸いは、“ただまっすぐ行く”ルートだったことでした。
辛いという感情は捨て、ひたすら足を前へ前へ進めます。
精神の支えは、地図アプリで泉岳寺までの距離が徐々に縮んでいくことだけでした。
 
早く浅野に、我が主君に討ち入り達成の報告をしなければ……
はっ!!いや違う違う、私は赤穂浪士じゃなくて……
ここにある、吉良の首を主君の墓前に……!!
早く!!早く!!!!!
 
今思えばあの時、もう私が何者なのか、わからなくなってきていました。
 
泉岳寺への最後の坂を駆け上がっている時には、
完全に彼らと気持ちがシンクロしていたのかもしれません。



吉良邸跡から泉岳寺まで、休憩含めて2時間13分。



赤穂義士記念館を見て回る余力は残っていなかったので、
御朱印をいただきに行きました。
待っている間に写経をするのですが、驚くほど手が震えて、
筆ペンを扱うことすらできていませんでした。
震える手で、気持を込めて行った写経は、とてもいい経験となりました。


 
最後の願文には、なはーとへ来て下さるお客様とのご縁に
大きな幸福がありますようにと願いを込めて、「諸縁吉祥」と書かせていただきました。
 
担当・Kによる松竹大歌舞伎コラムはここまでです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
これを読んで、本公演となはーとに少しでも興味を持っていただき、
劇場に足を運んでいただければ、とても幸いです。
 
 
おまけ!
今回は行けなかった松之大廊下から浅野内匠頭終焉之地へ向かう道中に
「勧進帳の弁慶像」があることを知ったので、
こちらも写真を撮りに寄ってみました!




 
なぜ「勧進帳の弁慶像」に寄り道したのか……。
それは、9月29日(金)から木ノ下歌舞伎による「勧進帳」
なはーとで上演されるからです!!
二週にわたってなはーとで2つの歌舞伎観劇を楽しんでみませんか?
みなさまのご来場、心よりお待ちしております!!


担当・K

続きはこちら↓
「汐汲(しおくみ)」について調べてみた!

前回はこちら↓
「土屋主税」について調べてみた!③上

最終更新日:2023.09.15

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